水素を燃料に使って走るFCVであるトヨタのミライ(MIRAI)ですが安いですよね。
今回はそんな安さの理由について調査しました。
トヨタ ミライの中古が安い理由
MIRAIの中古車が安い理由は「圧倒的に需要がない」が原因と考えられます。
MIRAIは水素を燃料に使って走るFCV(燃料電池自動車)です。
酸素と水素を「燃料電池」に取り込んで電気をつくり、その電気でモーターを回して走ります。
燃料電池とは、普通の乾電池とは異なり、水素と酸素を化学反応させて電気をつくる発電所のような存在です。
燃料の水素と酸素を供給し続ける限り電気を生み出します。
酸素は空気中から取り込みますが、水素は充填しなければいけません。
そのための水素ステーションというインフラが整備されていないことからFCVの普及が進んでいません。
水素ステーションの数は2023年3月時点で全国に166箇所となっています。
1箇所しか水素ステーションがない県も多いです。
更に場所によっては水素ステーションは常に利用できるわけでなく、使用できる日時に制限があることにも注意しなければいけません。
水素ステーションの数が少ないため販売が苦戦しているという理由から、同じFCVのHONDAクラリティも生産中止となっています。
MIRAIの実際の中古車価格を見てみましょう。
初代MIRAIの新車時価格は723.6~741万円で中古車の平均価格は169.6万円となっています。
2014年12月に世界初の市販型燃料電池車として登場したMIRAI。
2018年10月には安全運転支援システムのトヨタセーフティセンスを標準装備し、歩行者(昼夜)や自転車運転者を検知できるようになっています。
また、道路標識を認識するロードサインアシスト機能、先行車発進告知機能の追加、アクセルの踏み間違いや踏みすぎで起こる不意の衝突を緩和し、被害を軽減する機能であるインテリジェンスクリアランスソナーの標準装備など、安全機能が強化されています。
2019年10月には消費税の増税(10%)に伴い価格調整が行われています。
2019年モデルまでであれば、走行距離が3万km前後の中古車でも150万前後〜200万円前半前後で購入できます。
2020年モデルになると300万円近い価格相場になるため、トヨタセーフティセンスが搭載された2018年10月以降〜2019年モデルの購入をお勧めします。
続いて現行車にあたる2代目MIRAIの新車時価格は710〜860万円で中古車の平均価格は493万円となっています。
2020年12月に2代目となる新型にフルモデルチェンジしたMIRAI。
レクサスLSと共通のプラットフォーム、TNGA GA-Lが採用されました。
ボディサイズは全長4975mm×全幅1885mm×全高1470mmとLクラスセダンのサイズに拡大され、初代MIRAIの4人乗りに対して2代目MIRAIは5人乗りとなっています。
駆動方式ですが、初代MIRAIは前輪駆動でしたが、2代目MIRAIは後輪駆動に変更され、乗り心地やボディ剛性が向上しています。
ハンドリング性能や元々定評のあった静粛性においても前者を上回る出来となっています。
それでは、実際にMIRAIがどのような評価を受けているか口コミを見てみましょう。
トヨタ ミライの悪い口コミ
やはり一番多い不満点は「水素ステーションの少なさ」です。
場所によっては、予約しないと使えないステーションや時間が限られているステーションもあります。
ガソリン車は24時間営業のガソリンスタンドも多いことから使い勝手に悪さが目立ってしまいます
初代MIRAIの燃料タンクに、水素をフル充填時した状態での航続距離は650km、2代目MIRAIは燃料電池システムの更新、燃料タンクが2本(4.6kg)から3本(5.6kg)と増量されたことから航続距離が850kmとなっています。
遠出も十分可能ですが、水素ステーションが少ないと予定外の行動が出来ないため、ストレスが溜まりそうです。
続いて多いのが「室内の狭さ」です。
初代、2代目MIRAIともに、水素用燃料タンクは車体下に組み込まれています。
そのため、乗車時に天井との距離が近く圧迫感が出てしまいます。
また、後席がリクライニングできなかったり、倒してトランクを広げることが出来なかったりといった不満の声が挙がっています。
2代目MIRAIの定員は5人と改善されているものの、依然として後席は狭く快適な車内空間とは言い難いです。
「燃料タンクの交換時期」についても口コミがありました。
MIRAIの燃料タンクは15年を過ぎると水素を充填できないとのことです。
また、傷やへこみがあると15年を待たずに交換が必要となります。
交換費用はタンク1つにつき50万円ほどと言われています。
1つの車を長い間大切に乗りたい人は注意しましょう。
トヨタ ミライの良い口コミ
続いて、良い評価の口コミを見ていきます。
やはり「抜群の乗り心地、静粛性」が挙げられます。
FCVであるMIRAIはモーターで走るためエンジンがありません。
エンジンがないということはエンジンの音や振動がないため、静かで快適な走りを実現できます。
特に静粛性においては非常に高い評価を得ていることが口コミからも分かります。
更に、初代MIRAIがプリウスαと共通のプラットフォームを採用していたことに対して、2代目MIRAIは、FR高級車用として、レクサスLSに使われている「GA-L」プラットフォームを採用しています。
そして、サスペンションはマルチリンク式、タイヤも快適性重視のブリヂストンの「TURANZA T005A」を採用しています。
車の乗り心地を決める「プラットフォームの剛性」「サスペンション」「タイヤの性能」すべてに配慮された2代目MIRAIは、「レクサスLSと同等、もしくはそれ以上の乗り心地」であり、そのような車が中古車であるものの、500万円前後で買えることに満足という口コミがありました。
トヨタ ミライはどんな人に向いている?
MIRAIを購入するにあたり、生活圏内に水素ステーションがあることは大前提となります。
MIRAI以外の車も所有している人なら、近〜中距離用、遠距離用と使い分けることもでき、理想的です。
上質な乗り心地に優れた静粛性、そして質感の高い内外装。次世代の車と期待されるFCVのトヨタの渾身の1台が中古車で、200万円以下で買えることは破格の条件ではないでしょうか。
またFCVとしての先進性だけではなく、高級セダンとして車の完成度を高めた2代目MIRAI。
価格は高くなるものの、レクサスLSと同等の乗り心地や快適性と言われるほどの車が、良好な中古車として500万円前後で買えることは驚きです。
水素ステーションというインフラ整備の問題はあるものの、その点が許容できる方には、お勧めな車と言えそうです。